お仏壇の意味

お仏壇には様々な意昧が込められています。
まず仏教に触れる場所という意味でのお仏壇の役割があります。
仏教は「全ての人が幸福な人生を送れますように」という目標を掲げています。
つまり、お仏壇をご安置する意昧は、仏の教えを通して幸せを目指すことにあります。
ご本尊をお配りすると同時に大切なことは、ご先祖様をお紀りする場所としてのお仏壇です。
ご先祖様がいなければ、私たちはこの世に生まれていませんでした。
ご先祖様そして私たち、さらに子孫という命の流れに感謝し、家族や人々との鮮を確かめる場所がお仏壇です。
また、「ご先祖様は私たちを見守って下さる」という日本古来の宗教観もお仏壇には込められています。
最近ではお子様の教育の場としても見直されているお仏壇。 素直で優しいお子様をと本尊とご先祖様が見守ります。

お仏壇の歴史

現在見られるような、ご家庭にご安置するお仏壇が広まるのは、江戸時代に入ってからですが、お仏壇の源流は今から千四百年も前にさかのぼることができます。
日本に仏教が伝わったのは、西暦五百年代の半ばのことで、その後、六百年頃になると聖徳太子(しょうとくたいし)によって四天王寺(してんのうじ)(大阪)や法(ほう)隆寺(りゅうじ)(奈良)が建立され、仏教の教えや文化が日本で広がります。

そして六百年代の後半に、天武(てんむ)天皇が「家(いえ)毎(ごと)に仏舎(ぶつしゃ)をお祀りするように」という詔(みことのり)を出されます。
仏舎の仏は仏像で、舎は仏をお祀りする屋根付きの場所です。
もちろん、その時代に仏舎をお配りできるのは、ごく限られた人たちでしたが、仏舎はお仏壇の源流となりました。

私たち全日本宗教用具協同組合は、この詔が出された三月二十七日をもとにして、毎月二十七日を「仏壇の日」として定めています。
丁度この時代にお盆の法会(ほうえ)(孟(う)蘭(ら)盆会(ぼんえ))が営まれるようになり、先祖を仏教で供養するという習慣も始まりました。

平安時代末期には現在に続く様々な仏事が行われるようになり、鎌倉時代にはお位牌をお祀りすることが禅僧(ぜんそう)によって伝えられたと言われています。

お仏壇を買う前に

お仏壇を購入する時、大半の人はお仏壇のことがよく分からず戸惑われます。
「どこの仏壇店で買えばいいの?」
「予算はどのくらい掛かるの?」
「値段の基準はどこにあるの?」
「いつまでに買えばいいの?」
「お仏壇の他に必要なものは?」
「お寺様に相談した方がいいの?」
という疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
こうした理由からお仏壇を購入しようと思った時には、親戚の人や近所の人、お寺様に相談して「あそこの仏壇屋なら間違いない」という紹介を受けてから仏壇店を訪れる方もいらっしゃいます。
お葬儀後にあわててお仏壇を購入したり、値引きだけにひかれて、後々後悔される方もおられます。
お仏壇を購入するにあたっては、このコラムをじっくりとお読みいただいて、信頼できる仏壇店でお仏壇をお求め下さい。

お仏壇選びのポイント

お仏壇購入のポイントは「サイズ」「デザイン」「色」「ご予算」などです。
サイズは「幅・奥行・高さ」のことで、ご来店される前にお仏壇をご安置する場所のサイズをメモしておくと、スムーズなお仏壇選びが出来ます。
デザインは伝統的なお仏壇から、リビングにも合う酒落たデザインのお仏壇もあります。
どのようなデザインであれ「このお仏壇でお祀りがしたい」という気持ちになるお仏壇を選ぶことが大切です。

仏壇店選びのポイント

「似たようなお仏壇なのに、どうして商品やお店によって価格が違うの?」多くの方が抱くお仏壇と仏壇店への疑問です。
何店舗も仏壇店を回られるお客様がいらっしゃるのは、この疑問からでしょう。
品質やそれにともなう価格の違いを、分かりやすく説明できる仏壇店を選ぶことが、仏壇店選びのポイントです。また、地域の宗教的な習慣をよく理解して、お仏壇やお仏具を勧めてくれる仏壇店であることも大切なポイントです。
仏壇庖ではお仏壇一やお仏具の他、お線香やロウソク、珠数などを扱つおり、毎月お線香・ロウソクをお買い求めに仏壇店に足を運ばれる方もいらっしゃいますので、気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

お仏壇購入のタイミング

お仏壇はいつ買えば良いの?という質問はよく寄せられるちのですが、答えは「いつお求めになっても大丈夫です」というものです。
お仏壇が必要になった時が、あなたとお仏壇のご縁が作られた瞬間です。

大切な方がお亡くなりになられた後に

大切な方がお亡くなりになられた時は、お仏壇をお買い求め頂く機会の一つとなります。
人の死は、計り知れないほどの悲しみと痛みを遺(のこ)された者にもたらしますが、お仏壇をご安置し、そこに故人をお祀りすることで、多くの方々は心の落ち着きを感じるようになります。

いつでも毎日故人と向き合うことができるお仏壇は、心の安らぎの場となるに違いありません。

お仏壇選びは慌てずに

お葬儀の後、すぐにお仏壇を購入し、「もっと考えて決めれば良かった」と後悔される方もいらっしゃいます。

大切な方がお亡くなりになられた後、お仏壇を購入するタイミングとしては四十九日(しじゅうくにち)法要、百ヶ(ひゃくか)日(にち)法要、初盆法要などがありますが、お仏壇は長くお配りするものですので、多少時間がかかってもよくお考えの上で購入されることをお勧めします。
慌てて購入される方もいらっしゃいますが、製品内容が悪かったり、本当に欲しいものでなかったりして、後で後悔される方もいらっしゃいます。

新築・改築、法事・法要での購入や修復

新築や改築の際にお仏壇を新たにお求めになったり、すでに古くなったお仏壇を修復される方もいらっしゃいます。
このような場合には、あらかじめお仏壇をご安置されるスペースを工務店などの施工業者に相談すると良いでしょう。

すでにお持ちのお仏壇を新築や改築されたスペースにご安置する場合には、お仏壇のサイズとご安置するスペースへの注意が特に必要です。
この他、法事・法要に合わせてお仏壇を買い換えたり修復をされる方もおられます。

法事・法要は親族一同が集まる機会であり、新しくなったお仏壇のお披露目の場ともなります。
また、ご子患やお嬢様の結婚に合わせてお仏壇を購入されたり、修復される方もいらっしゃいます。

強引な販売と他店の悪口を言う仏壇店

あなたが仏壇店を訪れた時、残念なことに強引に引き留め、お仏壇を買わせようとする仏壇店もあります。

強引なセールスの場合にはきっぱりとお断り下さい。
また、他店の悪口を言いながら、自分の店の優れている点を強調する仏壇店もありますが、おすすめできない仏壇店の一つです。

前もっての連絡なく仏壇販売員が来訪した場合

前もっての連絡なく、ご自宅に仏壇店の販売員が来訪した場合、店名や販売員の氏名、来訪の目的などをご確認下さい。
また、なかなか販売員が帰らない場合は、はっきりとお断り下さい。

明細書と領収書を出してもらいましょう。

お仏壇購入を決められる時には、購入金額、お仏壇やお仏具の内容を記した明細書や見積書を出してもらうようにしましょう。
高額なお仏壇購入をお考えの場合には特に、よく内容を確認することが大切です。

内金を支払った場合には必す領収書を受け取りましょう。
展示会場等、常設店舗以外の場所で購入される場合には特に留意が必要です。

あなたのお話を聞いてくれる仏壇店で

価格のことや商品の説明ばかりを先行させ、お仏壇を早く決めて下 さい、とせかす仏壇店があるかもしれませんが、大切なことは「あなたの話を聞いてくれる」姿勢です。
お仏壇を選ぶ際には、この人にもう一度会って自分の話を聞いて欲しいと思える仏壇店を選んで下さい。

大幅値引き「そんなに値引きできるの?」

お店に入るなり、大幅な値引きを提示する仏壇店もあります。
値引きには本来の意味での値引きもありますが、最初から高い価格を付けてそこから値引きして安く見せる仏壇店がありますので注意が必要です。

分かリにくいお仏壇の価格

お仏壇の価格はわかりにくいものです。
見た目や大きさだけではなかなか判断できないというのがお仏壇です。

例えば同じ黒檀(こくたん)仏壇という表示でも、黒檀の使われている量や加工方法、黒檀の産地や種類などにより大きく値段は異なります。
「これは黒檀のお仏壇で、これは黒檀の木目を印刷したお仏壇」と製品内容の違いを説明し、産地の違いを説明出来る仏壇店であることはチェックポイントの一つです。

金仏壇の場合、同じように見える金箔(きんぱく)でも、実際には金箔の内容で金箔一枚一枚の価格は異なります。
金粉(きんぷん)のように見えても、本物の金を用いた金粉なのか、代用の金を用いたものか、金色の塗料を使ったものか、その違いだけでも価格は異なります。

お仏壇は材料も加工工程も非常に多い商品ですので、材料、加工方法、手間のかけ方の違いという積み重ねで価格の遣いが生まれます。

分かりやすく丁寧に説明してくれる仏壇店がお勧めです。
逆に質問に対してあやふやな回答であったり、ごまかしたような回答しか返すことのできない仏壇店はおすすめできません。
そこでお仏壇を購入されても、最後まで満足できないでしょう。

お仏壇のアフターケアと修復

仏壇店ではお仏壇のアフターケアも行っています。
アフターケアとは、お仏壇をお買い上げ後、そのお仏壇の美しさや機能を保つためのお手入れや修復のことです。
お仏壇購入の時にはアフターケアのことも必す確認して下さい。
アフターケアのことを説明できる仏壇店がおすすめです。

お仏壇は、お線香やロウソクの油煙(ゆえん)で汚れたり、埃(ほこり)で汚れたりしますが、そんな時には、油煙を落とし、挨を取り去ることが可能です。

また、数十年を経たお仏壇であれば、全面修理という方法で、お仏壇を美しく蘇(よみがえ)らせることもできます。
この場合には、お仏壇本体の部品を取り替えたり、傷んだ部分の修復、金仏壇(塗り仏壇)の場合には蒔絵の図柄変更なども可能です。

唐木仏壇 木の色と木目を生かしたお仏壇

木の色や木目を生かしたお仏壇のことを唐木仏壇と呼んでいます。
唐木という言葉は、元来は輸入銘木(めいぼく)の総称で、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)、鉄(た)刀(がや)木(さん)といった銘木のことを指します。
黒檀や紫檀、鉄刀木といった東南アジアで産出される銘木は、木そのものに鮮やかな色がついています。
私たちの先祖は、遠い国から長い時間をかけてやってきたこの色鮮やかな唐木を大切にし、価値の非常に高いものとして大切に扱ってきました。
最近では東南アジアはもとよりのこと、中南米、アフリカなどから輸入された唐木材もお仏壇の材料として使われています。
唐木仏壇の製品グレードは様々で、紫檀の場合は紫檀の板材を使用した製品(紫檀練(ね)り)、紫檀の突き板を使用した製品(紫檀張(は)り)、紫檀の木目を印刷したり紫檀の木目をフィルムに印刷したものを張った製品(紫檀調)、紫檀色に着色された製品(紫檀色)などがありますので、「紫檀のお仏壇だと思ったら、木目印刷のお仏壇だった」ということがないようにお求めの際には十分説明を受けて下さい。
唐木仏壇の仕上げには木目を生かしたもの、光沢をもたせたものなどがあり、仕上げの方法によっても価格は変わります。

唐木仏壇の中には欅(けやき)や桑、屋久杉といった日本で産出される銘木を使った製品もあり、日本の風土を反映した、味わい深い雰囲気を持つ製品となっています。

都市型仏壇 現代人の生活スタイル仏壇

伝統的なデザインのお仏壇に対して、フローリングのリビングなど洋聞にご安置することをイメージした、すっきりとしたデザインのお仏壇のことを都市型仏壇と呼んでいます。
洋間だけではなく、和の空間に似合うお仏壇もあります。

使われる素材もウォールナットやメープルなど様々で、現代の生活空間にマッチするデザインで作られており、お部屋の雰囲気に合わせたお仏壇選びができます。
最近では都市型仏壇と伝統型仏壇の中間タイプのお仏壇ち登場しています。

都市型仏壇の場合、お仏壇のデザインに合わせた酒落た感覚のお仏具を選ばれる方もいらっしゃいます。

金仏壇(きんぶつだん) 漆と金箔、蒔絵

金仏壇は漆と金箔で仕上げられたお仏壇で、木地、屋根、彫刻、漆塗り、金箔押し、蒔絵、彩色、錺(かざり)金具など、様々な日本の伝統工芸の技術を駆使して作られます。

江戸時代末期には工芸品としての価値の高いお仏壇が作られるようになり、現在でもその伝統を受け継ぎ、様々な産地で多くの職人が活躍しています。
金仏壇は工芸技術と工芸材料の集大成ですので、お仏壇選びのポイントも様々です。

例えば黒塗りのお仏壇でも、漆塗りの場合もあれば、漆以外の塗料を使用している場合もあります。
金箔も純金箔もあれば、真銭で作られた代用箔もあります。

また、同じ純金箔でも、漆を使って押したものもあれば、漆以外の接着剤を使用して押したものもあり、素材や手間のかけ方によりその価格は大きく異なります。

素材、デザイン、品質などがお仏壇選びの基準となりますが、信頼できる仏壇店でしっかりと説明を聞いた上で購入されることをお勧めします。

ご本尊 お仏壇の中心に

ご本尊とはお仏壇にご安置される仏像や掛軸のことで、宗派ごとに違いがあり、代表的なものは阿弥陀如来(あみだにょらい)像、釈迦如来(しゃかにょらい)像、大日如来(だいにちにょらい)像などです。
私たちはご本尊をお祀りすることで仏教に触れ、人生をより豊かなものにすることができます。

ご本尊の両脇には諸仏・高僧、宗派が定める掛軸などをお祀りします。

香華灯(こうげとう)お仏具選びも大切

お仏具は香華灯、すなわち花を活ける花瓶、お香を焚く香炉、ロウソクを灯すための燭台が基本となります。
花瓶・香炉・燭台は一つずつ用いる場合『三具足(みつぐそく)』と、花瓶一対・香炉一個・燭台一対て用いる場合『五具足(ごぐそく)』とがあります。
お仏壇によってはご本尊やお仏壇の中を照らす灯寵や輪灯を用います。

他には、仏前で「チーン」と鳴らすリン、ご飯やお茶、お水、果物やお菓子を供えるためのお仏具等、宗派によって様々なお仏具があります。
お仏具には伝統的なデザイン、新しいデザインのものがありますので、お仏壇などに合わせて選ぶと良いでしょう。

お仏壇を生前に購入すると不幸になる?

生前にお仏壇やお位牌を用意すると「不幸なことが起こる」という迷信がありますが、仏教では「自分が生きている聞に、自分のための供養(くよう)を行うと、その効果はとても大きい」と説いています。
供養とはご仏前にお花を活け、お香を焚(た)き、ローソクを灯(とも)し、ご飯などを供えることです。
生前に自分のために供養を行うことを仏教では「逆修(ぎゃくしゅう)」と呼ぴ、古くから行われてきた供養の方法の一つです。

お仏壇の安置場所と向きは?

お仏壇のご安置場所ですが、和室やリビングなど様々な場所にご安置することができます。
お仏壇をご安置する専用スペース「仏間」を持つご家庭がある一方で、リビングなど日常生活空間にお仏壇をご安置されるご家庭も少なくありません。
いすれにせよ、ご家族がお仏壇に手を合わせやすい部屋が良いでしょう。

方角については西向き、東向き、あるいは南向きなどが言われますが、あまり気にせす手を合わせやすい場所、ご家族が集まりやすい部屋にするのが良いでしょう。

経典では「十方諸仏(じっぽうしょぶつ)」という言い方もあり、仏は方角を問わす偏在していることを教えています。

宗派って何?

お仏壇をお求めになる時、ご自身の宗派・宗旨をご確認下さい。
それは宗派によりご本尊やお仏具のお祀りの仕方が異なったり、お仏壇そのものが異なる場合があるからです。
宗派はお経の違いや、お経の理解の仕方、また教えの内容の違いによって生まれたものです。

珠数 仏教徒のシンボル

珠数は仏教徒のシンボルで、珠数を持つ人は仏の力により護ら(まもら)れるといわれます。
珠数はお仏壇の前でおつとめをする時や葬儀・法要など仏事の際には欠かせないものですが、葬儀・仏事の時だけではなく、成人式や結婚式に際してお買い求めになる方もたくさんいらっしゃいます。

珠の種類では水晶、紫水晶、茶水晶などの水晶類、珊瑚(さんご)や瑪瑙(めのう)など貴重な素材類、木の珠では菩提樹(ぼだいじゅ)や紫檀・黒檀などがあります。
房のデザインと色は珠数のチェックポイントです。
珠数には男性用と女性用があり、宗派ごとの正式な珠数もあります。
珠数は使っている聞に紐が切れることがありますが、「珠数が人生を守ってくれた証拠」とされています。
紐の切れた珠数は仕立て直しができます。

香りの専門店としての仏壇店

お香は「香食(こうじき)」とも呼ばれ、ご本尊やご先祖様にとって一番のご馳走となると言われ、良い香りのお線香を焚(た)くようにします。
日本でお香の歴史が始まったのは千五百年ほど前のことで、淡路島に香木が流れ着き、その香木を焚いた人たちは香りの良さに驚き朝廷に献上したと「日本書紀」には記されています。
平安時代には貴族達によって、香りを楽しむ文化が広がりました。

仏壇店には伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)といった香木系の東洋の香り、ラベンダーやバラといった西洋の香り、檜(ひのき)やコーヒーの香りなどがあり、現代人の生活空間にマッチした煙の少ないお線香もあります。

お線香と聞くと、お仏壇で焚くお線香のことばかりを思い浮かべがちですが、リビングや玄関などで焚くことで、その香りを楽しむこともできます。
また、心と体をリラックスさせる効用を持つものもあります。

ロウソクをなぜが仏壇にお供えするのでしょうか。

●火を灯す意昧
人聞は、原始の時代に〔火〕を授かり、大事に保存して、上手に利用することで文明を発展させてきました。
ロウソクを灯すことは、〔火〕の有り難さに感謝し、〔火〕の存在を忘れないようにすることにあります。

●お釈迦様がロウソクに託した教え
お釈迦様が晩年、大病をした時の事、愛弟子の阿難陀(あなんだ)に「自分自身を灯明とし、自分自身を拠(よ)り所(どころ)とするがよい。法を灯明とし、法を拠り所とするがよい。他に頼つてはならない」と諭されました。
法とは正しい教え(お釈迦様の教え)のことで、法を導きの灯明として、他の人の判断をあてにせす行動し、自分で物事を考えなさいという意昧です。
また、お経には「ともしびは念々に消滅するといえども、しかし光明ありて暗冥(あんみょう)を照し破る、道を修するもの亦(また)斯(か)くの如し」とのみ教えがあります。
その意昧は、「尊い生命は、いつしか燃え尽きます。
その尊い生命を大切にして、家庭や社会を少しでも明るく照らすよう努めなさい」というものです。
お仏壇にロウソクをあげる事で、お釈迦様の教えを忘れ無い様にしたいものです。
お仏壇にロウソクを灯すときは、安全を確認しましょう。

お位牌のご用意

お位牌はご先祖様が宿る大切な場所となります。
また、ご先祖様のお位牌は家の歴史のシンボルとなり、過去から現在まで続く命を感じる場所ともなります。
お葬儀に際しては白木のお位牌が祭壇にお祀りされますが、四十九日法要以降は白木位牌に代わって、本位牌(黒く塗られ金箔や金粉で美しく飾られたお位牌や、黒檀や紫檀などの木目を生かしたお位牌)をお祀りします。

●位牌分け
故人のお位牌を複数本作り、兄弟姉妹やご親族のご家庭でもお紀りして頂くことを位牌分けと呼び、広く行われている習慣です。

●過去帳(かこちょう)
ご先祖様の戒名・法名、没年などを記した帳面のことを過去帳と呼びます。
宗派によってはお位牌を用いず過去帳や法名軸(ほうみょうじく)と呼ばれる掛軸を用います。

ご仏前での日々のおつとめ

お仏壇の前でリンを鳴らし、お灯明(とうみょう)を灯し、お線香をたき、手を合わせ読経をしたり、念仏・題目を唱えることを「おつとめ」と呼んでいます。
「おつとめ」をすることで私たちは仏の教えに触れ、ご先祖様を感じることができます。
仏教では身体と言葉と心を一致させることが大切であると説きます。

お仏壇の前に座り、「おはようございます」「おやすみなさい」「ありがとうございます」と挨拶をし、お経を声に出して読み、宗派ごとの言葉を唱え、心をご本尊やご先祖様に向けることが「おつとめ」です。

頂き物をした時には、贈って下さった方とのご縁を感謝し、お仏壇に頂き物を供え(あるいは報告)、お子様を諭す時には必ずお仏壇の前でという方もおられます。

仏事あれこれ

お仏壇には、日々お灯明を灯(つ)け、お線香を焚(た)き、お供えものをして手を合わせますが、ご親戚やお知り合いの方々がお仏壇の前に集まり共に手を合わせる特別な時間を仏事と呼びます。

仏事の代表的なものは亡くなってから四十九日(しじゅうくにち)まで行う七日ごとの法要、百ヶ(ひゃくか)日(にち)、初盆(はつぼん)、一周忌(いっしゅうき)、三回忌(さんかいき)、七回忌(ななかいき)、十三回忌(じゅうさんかいき)、三十三回(さんじゅうさんかい)忌(き)などがあります。

四十九日(しじゅうくにち)法要(ほうよう)までの七日ごとの法要は仏教思想に基づき、一周忌、三回忌法要は儒教の思想を仏教が取り入れたものですが、悲しみと向き合う古代からの人々の知恵がそこには込められています。

また、故人の亡くなられた日は特別に祥月(しょうつき)命日(めいにち)と呼ばれています。

開眼法要(かいげんほうよう)と入仏式(にゅうぶつしき)について

お仏壇、ご本尊、お位牌を迎えた時には僧侶に依頼して開眼法要を行います。
開眼法要は「入仏式」、「魂入れ」、「正念入れ」などとも呼ばれ、お仏壇、ご本尊、お位牌に魂が入る法要となります。

この法要を行うことによって、初めてお仏壇は礼拝の対象となります。